ブラジル・アラゴアス出身のシンガーソングライター、マルチ・インストゥルメンタリスト。アラゴアス州の州都マセイオで生まれたベルリは、幼少の頃から音楽の道を歩み始め、7歳からギターを習得。早々とプロとしてのキャリアをスタートし故郷のパーティーやラジオ局、タレント・ショーで演奏していた。地元のインディロックバンド”Troco em Bala”のメンバーを経てサンパウロに移り住み、キャリアはさらに注目されるようになる。
2014年からソロプロジェクトをスタートしたベルリだが、初期作をデジタル・プラットフォームから削除することを選択、リセットする形で誕生した『No Reino dos Afetos』(2022年)を真のデビュー・アルバムと定義づけている。このアルバムがイギリスのFar Out Recordingsからリリースされると、世界中の批評家から高い評価を得ることとなり、サブスクリプション・サービスでも1年足らずで400万回以上の再生回数を記録し、ブラジル全土のコンサートホールでのソールドアウト公演やヨーロッパツアーにつながった。
前作のテーマと美学を引き継いだセカンド・アルバム『In the Kingdom of Affections 2』(2023年)でもオリジナルの音楽スタイルはさらに深みをもって踏襲されMPB、ヒップホップ、R&B、ブギー、ハイライフの要素に、演奏面ではギターなどの伝統的な楽器編成と、シンセサイザーやビートなどのエレクトロニックな要素をミックスすることで独自の世界観を創造している。
FRUEのステージで圧倒的なライブパフォーマンスで観客を魅了したバーラ・デゼージョのメンバーや、先日の来日公演も記憶に新しいアナ・フランゴ・エレトリコなど、ブラジルで最もエキサイティングなアーティストたちとステージを共にしておりブラジル音楽シーンでも快進撃を続けている注目のアーティストの1人。今回の来日ではベルリのアルバム・プロデューサーでコラボレーター/トラックメーカーのbatata boyが帯同したいわば”完全体”でのライヴパフォーマンスが実現する。
text by Hideki Hayasaka