VOICE

FESTIVAL de FRUE 2021の近況をお知らせします。

良いお知らせと、残念なお知らせがあります。

テノ・アフリカとサム・アミドンが来日し、サム・ゲンデルとファビアーノ・ド・ナシメントがキャンセルとなります。

全てのアーティストが入国するためのVISAは取得できましたが、隔離期間の短縮免除ががどうしてもおりず、最終的に2組のスケジュールの調整がつきませんでした。
多くの方が楽しみにされていたかと思いますので、フルラインナップが揃わなかったことは心苦しいです。

ただしテノ・アフリカとサム・アミドンは予定通り来日します。日本での2週間の隔離という非常に難しいオファーに応じてくれました。
この状況の中、南アフリカと英国から来る2人を盛大に迎えられたらと思っていますので、皆さま奮ってご参加ください。

ここまでの経緯を説明します

今回、発表していたすべてのアーティストの来日公演を信じてお待ちいただいていた皆さまへ簡単ですが経緯と事情を説明します。「なぜ観たいアーティストが来日できないのか?」知りたい方は少しだけお時間をください。

報道でご存知の方もいると思いますが、ある海外アーティストを招聘する音楽フェスでは3日間の隔離で海外アーティストが来日することができましたが、現状、海外のアーティストの入国どころか、外国人留学生、労働者、技能実習生等でさえも来日できない状況が今も続いています。

2020年3月からほぼ「鎖国」状態で、いま日本に入国できるのは"日本国のパスポートを持っている人”と”特段の事情がある人”だけが14日間の隔離を経て入国できます。

何を持って「特段の事情」とするのか。なぞは深まりますが「3日隔離で海外アーティストを呼べた」という前例をもとに、FRUEも海外アーティストの来日公演を「特段の事情」として、粘り強く申請と協議を重ねました。

まず、コンタクトを取ったのが経産省でした。最初のオンライン・ミーティングは、名古屋のフェスが大炎上した後だったので、ほんとうにフェスを実現したいのか覚悟を尋ねられました。もちろんイエスと答えると、次のような質問が浴びせられました。

・なぜ、このタイミングで入国させなければならないのか?
・そのライブを行うことは高い公益性を有するのか?
・そして、なぜ、オンラインではダメなのか?

もう色んな意味でくらくらしました。我々にも、少なからず約2年分の鬱憤がたまっているわけで、すでに海外アーティストを招聘した例をもとに「同じようにやれるのではないです?」かと逆に質問で返したところ、「あのフェスは1年かけて準備をしたのだから次元が違う」とばっさり切り捨てられました。

「そもそも高い公益性って、どういうことですか?」と2つ目の質問。回答としては、例えばグラミー賞レベルの国際的な受賞したとか、そういった経歴がある方が来日することは高い公益性を有するとのこと。その場にいた我々が、苦笑いで頭を抱えたのは目に浮かぶでしょう。

ここまで来て諦めるわけもなく、でもグラミー賞といっても、賞自体はもらってないけど、オーケストラなんかで地道に続けているミュージシャンなどいますよね?と切り返し粘る。まぁ、確かに。そうですね。準ずる活動や実績があれば大丈夫かなとのことで、我々のイメージとしてあるのは、ジェイコブ・コリアーとやっているサム・アミドン、ライ・クーダーとやっているサム・ゲンデル、アイアート・モレイラとやっているファビアーノなわけで、ここを切り口にして、経産省の望む高い公益性へ結び付けられないものか・・・。

ーとは言っても、グラミー賞どうのこうのより、音響照明、大道具楽器舞台監督などフェスやイベントの携わる現場の裏方チームもキャンセル続きで苦しい状況です。仕事へのモチベーションすら失いかけています、それに、12月までに公演を行わなければ文化庁の助成金がおりません、どうしても開催する必要がありますと少し大げさに、情に訴えました。「まぁ気持ちはわかるんですが・・・」とやんわりダメだしをされ大幅な赤を入れられましたが、なんとか「外国人の入国に関する協議依頼」の作成にこぎつけました。

この協議依頼というのは、FESTIVAL de FRUE 2021の開催は、経産省が「公益性を認めることに合理的な根拠・理由があると判断」し、内閣官房副長官補室、出入国在留管理庁、外務省、厚生労働省に宛てて、渡航のためのVISAの発給を依頼しますというものです。

私たちは、誰か認めてもらいたいからフェスやライブを開催するわけではありませんが、粘りに粘って認められたのは正直嬉しかったです。
というのも、ただただ見たことのないよう景色を見せてくれる音楽が好きで、その体験は日常を彩り、ひいては社会によりよい効果をもたらすだろうと信じてFRUEを続けているわけで、また、あの場所へ集まる人々も、そういう想いを少なからず抱いていると勝手に思っているので、なんだか、これまでの我々の活動だけでなく、集まる人々の想いも認められたような気がしたからです。この状況下でも捨てたもんじゃないなと、とても心強く感じました。

それに、経産省のスタッフの方も、最初は、取り付く島もない感じでしたが、平日深夜遅くまで、土日も親身になり書類作成を手伝ってくれました。
ひとつ言えることは彼彼女らも、イベント業界の沈みように危機感を持っています。何とかしたいという想いは同じだと思います。よりよい未来となるように来週末の選挙くらいはでかけましょう。

というわけで、発表していたサム・ゲンデル、ファビアーノ・ド・ナシメント、サム・アミドン、テノ・アフリカに加え、来日できるなら発表しようと温めていたスブレカ、ニック・ザ・レコード&ジョン・ゴメスの興行ビザは取れる手配はできましたが、前述のとおり2週間の隔離短縮が、どうしても免除されず、アーティストのスケジュールの都合つかずで、今年のFRUEの来日アーティストは、テノ・アフリカとサム・アミドンとなりました。

重ね重ね期待していたアーティストの来日を楽しみにしていた皆さん申し訳ありません。

またこの難しい時期に2週間も早くFESTIVAL de FRUEのため、日本のオーディエンスのために2週間の隔離を受け入れてくれたテノ・アフリカとサム・アミドンに感謝の気持ちでいっぱいです。

なんというか、とにかく、この2人の姿勢は自然体でポジティブ。曇天ながらもすっと伸びてぱっと咲く立葵のようで、2年近く閉じっぱなしの我々の心を晴々とさせてくれる予感がします。

2人のプレイを、ぜひお見逃しくなく!
なお、アフターなどで東京公演は行いません。FESTIVAL de FRUE@掛川のみとなります。